月経が終わることを閉経といいます。閉経は時代や人種に関係なくだいたい50歳くらい迎えることが知られています。この閉経を挟んだ前後の10年間くらいを更年期と呼んでいます。閉経するということはからだ中で卵巣がその機能を終えることを意味し、具体的には女性ホルモン分泌が著しく低下します。女性ホルモンは妊娠や出産に関与しているだけではなく、女性の健康を維持するために大変重要なホルモンです。では何故ヒトは50年でそれを手放さなければいけないのでしょうか。神さまはそれ以上の人生を想定していなかったのでしょうか。
生物学的にいえば女性は妊娠・出産という危険にさらされるのみでなく、さらに出生した子を独り立ちするまで育て上げるという種の保存に関わる最大の担い手です。その為、非常に生体に対し保護的に働く女性ホルモンをその使命を全うするまでは与えられると理解されています。ではもっと長く卵巣が機能すればよいかというと、50歳60歳での妊娠は間違いなく生命の危険を意味します。この点においては50歳で月経が終了する必然性は理解できます。しかし更年期女性が更年期障害に代表される様々な症状にさいなまれるのも事実です。
更年期に月経の不順とともに始まるさまざまな不調の出現に戸惑い不安に陥る女性は多くいらっしゃいます。女性の更年期における変化については、月経や妊娠・出産などと異なり、母から娘に情報が伝わりにくいことが指摘されています。さまざまな症状に対しさまざまな診療科を受診するケースが多く、婦人科に足を向ける人はまだ少ない状況です。皆さんの周りに更年期でお悩みの方がいらしたら、婦人科受診をお勧めしてあげてください。
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