女性にはうつ病を発症しやすい時期というのが3つあります。いずれも急激なホルモン変動を体験する、月経前,分娩後,そして更年期です。心とホルモンの関係を如実に語っていますね。うつ病まで行かなくとも更年期の女性には、抑うつ症状や抑うつ気分の訴えがしばしばみられます。ところでこの更年期における抑うつ症状は実は閉経後ではなく閉経の数年前の女性に多く認められる症状なのです。月経でいえば少し乱れ始めているけれど月一回はあるといった時期で、典型的な更年期症状であるのぼせやほてり、発汗過多などの訴えはあまりみられません。閉経してから更年期障害がでてくるとお考えの方が多いためか、まだ月経もあるのに、気分が沈んでゆううつだ、とても涙もろくなっている、漠然とした不安感におそわれるなど、突然起こってきた感情の変化に戸惑い、「私はどうかしちゃったのでは」とさらに深い落ち込みにはいりこんでしまう方もいらっしゃいます。まずは、このホルモンの動揺する時期は心も揺れ動くことを理解しておきましょう。そして何もおかしくなってしまったわけではなく、この時期はしばしば上記のような感情の波が押しよることを知っておきましょう。理解しているだけでも怖さも不安感もだいぶ薄まるものです。そして、ひとりで抱え込まず更年期医療を提供している婦人科へ気軽に相談してみましょう。適切な説明やカウンセリングだけでも心の平静はだいぶ取り戻せるものです。もちろん専門的な治療が必要かどうかの判断もしていただけるはずです。
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