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前回、生理通(月経困難症)の項で卵巣に内膜症による嚢胞ができると書きましたが、今回はそれに続いて若い方に良く見られる卵巣腫瘍のお話をします。成熟嚢胞性奇形腫という病気があります。卵巣腫瘍は症状がない場合が多いのですが、これは腫れて大きくなった卵巣が突然お腹の中で捻じれ(茎捻転といいます)、急激な腹痛が生じ、病院で見つけられることがよくあります。一方、おとなしくしている場合は健診時などに偶然見つかるケースが多いです。
この腫瘍の中身は脂肪や毛髪、皮膚、軟骨、骨などで、手術後などにご家族にお見せするととても驚かれる腫瘍です。ブラックジャックのピノコを連想させますが、体のすべての組織が入っているわけではありません。別名皮様嚢腫とか類皮嚢腫ともいい、字のごとく皮膚に似た組織(皮膚と皮脂腺による脂肪と毛髪)が良く見られるためこう呼ばれています。一見不気味な感じがすると思いますが、特別な例を除き基本的には良性腫瘍なので癌とはちがいますし、きちんと治ります。
先に卵巣腫瘍は症状に乏しいと書きましたが、かなり大きくならないと発見されないことしばしばです。また、婦人科診察(内診)だけでは小さいと見つからないことが多いです。それに引き換え超音波検査は極めて有効です。卵巣に限らず子宮においても小さな変化や異常をとらえることができます。婦人科健診時に超音波検査もできる場合は是非行うことをお勧めします。若い人にも多い病気が婦人科にはたくさんありますので機会を逃さず女性特有疾患のチェックをしてください。
 
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